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ニヴェルネ運河(出典:Les Guides Fluviaux EDB No.11)
ニヴェルネ運河は、モルヴァンの森と呼ばれる森林地帯を抜けて、ロワール渓谷をセーヌ渓谷へと繋いでいます。運河はロワール川斜面からアルナン川流域へ、更にアロン川流域へと続きます。次いで分水嶺の コランセルトンネルを越え、ヨーヌ川の流域を、時にはヨーヌ川の流れを借りながらオーセールに至ります。
ロックは狭く運河の水深も浅いので、ニヴェルネ運河は航行が難しい運河といわれ、70年代に最後の商業船がここの運航を取りやめました。以来、この運河はレジャークルーズ船専用となり、また改良工事により、運河の状況は改善されてきました。今日では、運河の水は効率よく供給され、曳舟道は全航程で整備され、ロックは良く手入れがなされ、ロックキーパーが常駐してロック作業を行っています。モルヴァンの丘を越える航程は、小川の流れがいたるところに見られる起伏に富んだ地形で、ニヴェルネ運河はフランスで最も美しい運河のひとつです。
水の供給システム:
運河の水はいくつかの貯水池、及びヨーヌ川とアロン川から取水して供給されています。貯水池となっている ボー湖とバイ湖は分水嶺で見ることができます。かつて貯水池として活躍していたヌフ湖とグフィエ湖は、今は魚の養殖池として使われています。
ほとんどの水はパネシエール貯水池からブルレ港ロックのある分水嶺まで、ヨーヌ導水溝で供給されます。この小さな運河がモルヴァンの丘を抜ける25kmは曲がりくねりながら美しい景色の中を行き、運河橋で3つの谷を渡ります。運河橋のうち2つは運河が造られた当時のままの古い石積の運河橋です。3つ目の新しい橋はコンクリート製です。
緑の道(サイクリングロード):
オーセールからのサイクリングは、最初は県道を通ります。シャン・シュル・ヨーヌからは、曳舟道が運河沿いのサイクリングロードとして整備されています。アネックスのサイリングロードが ヴェルマントンへと分岐します。またドゥシーズよりのPK3地点からは、古い鉄道の線路跡を辿ってアンフィの 鉱物ミュージアムに行けます。
速度制限:
ところどころに速度テスト用標識パネルが1.300mおきに設置されています。もし船が、2枚のテスト用標識パネルの間を10分以内に通過すると、それは時速8kmを超えていて、制限速度違反です。たとえ速度違反の罰金が科せられる恐れが なくても、必ず速度を緩めてください。ニヴェルネ運河の岸辺は特に脆弱で、船の引き波により岸が破壊される恐れが大です。
橋:
ロワール川斜面の最も低い橋は、セルシー・ラ・トゥールロックの下流の橋と、バイ近くの橋(PK62)です。PK62地点の橋は、水面から橋中央部までの高さが2.85mで、幅5mの船だと高さ2.75mまでしか通ることができません。この橋を潜り抜けるために、バイ又はシャバンスのロックキーパーに連絡してシャヴァンス閘区の水位を下げてもらうことができます。PK61の放水路は、特にこの用途のために使われます。
セーヌ川斜面では、マイリー・レ・シャトーのストップロック手前の鉄道橋及びダムロック手前の橋が最も低い橋です。水面から橋までの高さ表示はおよそと思ってください。閘区の水位は変動します。
ロック:
ほとんどのロックにロックキーパーがいます。ロックキーパーが一人でいくつか連続するロックを受け持って船と一緒に移動する場合もあります。ロックキーパーにロック操作を頼むためには、一番近いロックに行くか、或いはコルビーニーナヴィゲーションサービスセンター(03 86 20 27 05)に連絡してください。この電話番号は年中無休で午前8時~12時、午後2時~6時につながります。
森の動物用のはしご:
森を抜けるクラムシとオーセール間、及びサン・レジェとセルシ・ラ・トゥール間に、ナヴィゲーションサービス公社は、狩猟協会の協力を得て、30箇所以上に動物たちのためのはしご段を設置しました。運河の水に落ちた動物が地上に戻れるようにと設置した段です。これはいろいろな形をしていて、中には金属製のプラットフォームが水の下に隠れていて、船にとって危険なものもあるので注意してください。
運河の歴史
19世紀末までモルヴァン地方ではすべての川で筏流しが営まれていて、ニヴェルネ運河の歴史は、この筏流しと分かちがたく結びついていました。森の中で小川に投げ込まれた樹皮が付いたままの丸太は、『エクルゼ』と呼ばれる人工の流れに押されてヨーヌ川までごちゃごちゃと流れてゆきました。ヨーヌ川に出るとすぐこの丸太は筏に組まれ、ゆるゆるとパリのセーヌ河岸まで流れてゆきました。ローヌからのオーソワ川、サン・レヴェリオンからのボーブロン川、コルブランからのソゼイ川など、ヨーヌ川の支流という支流は最も小さな支流でさえ、この筏流しに使われていました。ヨーヌ川の最も大きな支流キュール川では、モンフォシュから丸太が流され、アルシで筏に組まれました。
18世紀末にかけて、セーヌ谷の木材資源は枯渇しました。1784年、ロワール谷の バゾワの森に至る筏を流すための小水路の掘削工事が始められました。ちょうどその頃、船舶輸送の時代となり、筏流し支持派と船による輸送支持派の間で論争が起こり、船舶輸送支持派が勝ちを納め、2年後、ニヴェルネ運河の掘削が開始されました。運河の掘削工事はフランス革命のとき中断され、1809年に再開されました。まず コランセルのトンネルが完成し、1843年にやっと運河が開通しました。
輸送船は分水嶺ではタグボートに曳かれ、そのほかの箇所では馬・ロバ・ラバで曳舟されました。またドゥシーズではヌヴェール商工組合により設置されたチェーンタグを使って船はロワール川を横切りました。